ヘッジファンドとは?プライベートエクイティファンドとは?違いをGT東京法律事務所の弁護士が解説
本記事の執筆者
大橋 宏一郎(弁護士) | 慶応義塾大学法学部卒(1989年)、コロンビア大学ロースクール法学修士号取得(2001年)、日本と米国NY州の弁護士資格を持つ。 主な取扱分野は、国内外の銀行取引、スポンサード米国預託証券プログラムの設定等の資本市場取引、ファンドおよび投資運用関連事案(プライベート・エクイティ、ヘッジ・ファンド、REIT)を含む、様々な金融取引事案およびコーポレート事案(特に合併買収、企業再編取引)。 GT東京法律事務所(Greenberg Traurig LLPの東京事務所)に所属。 |
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荒川真里(弁護士) | 慶応義塾大学法学部卒(2016年)、中央大学法科大学院卒(2018年)、日本の弁護士資格を持つ。 主に、一般企業法務,金融関係,IPO関係およびゲーミング産業を中心として業務を行っている。 司法試験合格後,司法修習(第72期)を経てGT東京法律事務所(Greenberg Traurig LLPの東京事務所)に参画。 |
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1.ヘッジファンド、プライベートエクイティファンドとは
各種あるファンドの類型の中でも、しばしば比較されるのが、ヘッジファンドとプライベートエクイティファンド(PEファンド)です。
ヘッジファンドとは、上場株式、債券、為替、商品等に幅広く投資をして、各種の投資方法(デリバティブ取引や空売り等)を駆使して運用し、市場の下落等のリスクを「ヘッジ」(回避)して、絶対的な収益を狙うファンドです。
PEファンドとは、非上場企業の株式に投資をして、一定のファンド存続期間中に、投資対象を上場させるか、第三者に売却することにより、投資資金の回収を図るファンドです。
2.ヘッジファンドとプライベートエクイティファンドの違い
ここでは、ヘッジファンドとPEファンドの違いのうち、投資家にとっての違いに焦点を当ててご紹介します。
なお、下記以外にも様々な違いがあるため、実際に投資する際には注意が必要です。
2-1.出資のタイミング
ヘッジファンドは、基本的に、出資の契約時に投資金額全額を出資します。
一方、PEファンドは、一般的には出資の契約時に投資金額を払込みません。
まず、出資の契約時に投資総額を定めます。
そして、契約締結時から一定期間(例えば3年)を出資期間と定め、この期間内に、ファンドの運営を行うジェネラル・パートナー(GP)から、出資要請(キャピタル・コール)を受けると、投資家であるリミテッド・パートナーは、数営業日以内に、要求された金額の出資をしなければなりません。
これを怠ると、投資持分の没収といった厳しい制裁を加えられるおそれがあるので要注意です。
2-2.存続期間及び途中解約
ヘッジファンドは、多くの場合、ファンドの存続期間に定めがなく永遠に存続するか、20年といった長期の存続期間を設定しています(いわゆるオープンエンドファンド)。
そして、投資家は、基本的にいつでも解約請求ができます。
ヘッジファンドの場合、上場株式等、流動性の高いものに投資することを原則とするため、投資家から解約申し込みがされても、市場で投資資産を売却することにより、償還資金を調達することが比較的容易です。
したがって、長期の存続期間を設定することができ、期中に投資家が解約してファンドから撤退することを許容しやすくなっています。
一方で、PEファンドは、ファンドの存続期間が概ね10年程度と定められていることが多く、基本的に途中解約をすることはできません(クローズドエンドファンド)。
PEファンドの場合、流動性の低い非上場株式に投資することを原則とするので、期中に投資資産を現金化し、償還資金を調達することは容易ではありません。
また、そもそも、投資先企業の株式市場への上場や第三者への売却を通じて投資資金を回収するため、途中で部分的に投資資産を売却することを想定していません。
したがって、ファンドの存続期間を定め、当該期間中は投資を継続することを求めます。
ただし、これには例外もあり、空港や高速道路などのインフラ施設を開発、運営する企業の株式へ投資するPEファンドなど、キャピタルコール方式の出資方法を取りつつ、存続期間の定めがないものもあります。
2-3.開示内容
ヘッジファンドは、原則として、上場株式等に投資するので、投資対象について時価を計算することができます。
したがって、投資家は、定期的にファンドの純資産価値(NAV)を計算した報告書を受け取ります。
一方で、PEファンドの場合、非上場株式に投資するので、市場がなく、投資先の時価を客観的に算出することができません。
したがって、ファンドからの定期報告は、投資先の状況等の報告に限定され、投資家は、ファンドの現在価値を知ることはできません。
●GT東京法律事務所によるファンドの組成、法務、税務解説記事一覧
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日本国内でファンドの運用や販売を行うには、登録や届け出などが必要です。
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ファンドの発行にあたり必要なものに、契約締結前交付書面及び契約締結時交付書面があります。
本記事では、契約締結前交付書面及び契約締結時交付書面について詳しく解説します。
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26.引受契約とは?規定される3つの事項についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
リミテッド・パートナーシップ契約(LPA)では、引受契約というものが締結されます。
本記事では、引受契約で規定されるいくつかの事項について詳しく解説します。
27.覚書(サイドレター)とは?盛り込める内容についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
覚書(サイドレター)とは、投資家との間で、LPAや引受契約に明記されていない事項を取り決めたり、既存の契約内容を変更するための覚書です。
本記事では、覚書(サイドレター)の詳細について詳しく解説します。
28.投資家への運用財産に関する報告義務についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドの運用者は、投資家に対してファンドの運用状況等を記載した運用報告書の作成、交付義務が規定されています。
本記事では、ファンドへの投資後に、投資家に対して行われる運用財産に関する報告について詳しく解説します。
29.ファンド持分の償還についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
投資資金の回収方法には、いくつかありますが、償還という方法が一般的です。
本記事では、償還の仕組みについて詳しく解説します。
30.ファンドの終了|清算と解散手続きについてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドが活動を終了する場合には、いくつかの手続きが必要です。
本記事では、LPAで規定されるファンドの解散及び清算について詳しく解説します。
31.有限責任と無限責任の違いとは?有限責任の重要性や例外等について詳しく解説
ファンドには、リスクがつきものです。
本記事では、ファンドのリスクである限責任・無限責任の違い、投資家の有限責任の重要性及びその例外について詳しく解説します。
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