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ファンドとは?メリット・デメリットをGT東京法律事務所の弁護士が解説


本記事の執筆者

         
荒川真里(弁護士)
慶応義塾大学法学部卒(2016年)、中央大学法科大学院卒(2018年)、日本の弁護士資格を持つ。
主に、一般企業法務,金融関係,IPO関係およびゲーミング産業を中心として業務を行っている。
司法試験合格後,司法修習(第72期)を経てGT東京法律事務所(Greenberg Traurig LLPの東京事務所)に参画。

1.ファンドとは?

ファンドとは、複数の投資家が資金を出し合って、まとまった資金を作り(これがファンド)、投資の専門家に資金の運用を任せて資金を投資先に投資し、投資により得られた利益を各投資家に分配する仕組みです。
投資家は、資金の拠出と引き換えにファンドに対して持分を取得しますが、ファンドから資金を回収したいときは、ファンドの条件に従って、その持分を償還することにより投資資金の回収を行うことができます。

このようなファンドを利用した投資のメリット、及び、デメリットは何でしょうか?

2.ファンドのメリット

第一に挙げられるメリットは、投資の専門家により資金運用がされることです。
一般の投資家にとって、知識の豊富でない外国マーケットの投資などでも、プロの投資専門家に任せて投資できるのが、最大のメリットだと思います。

次に、多くのファンドにおいて、分散投資を目的として投資制限が設定され、一つの投資先又は一つの商品への投資額又は投資割合が制限されているファンドが多いです。
これによって、一つの投資先が破綻したような場合でも、被害を限定することができ、安定した投資運用が可能となります。

また、複数の投資家から資金を拠出してもらうので、投資資金額が大きくなり、一個人ではなし得ないような投資に参加することもできます。

3.ファンドのデメリット

一方、デメリットとしては、複数人の投資家の資金を預かる仕組みの性質上、投資から拠出を受けた資金の安全確保、及び投資運用者の不正を防ぐ仕組みを構築することは必須です。
そのためには、ファンドの関係者の有する権限を限定・分散し、互いにけん制を効かせることが必要となります。

ですから、1つのファンドでも、アドミニストレーター、カストディアン、及び監査人など、複数の機関が関与することとなります。
投資運用者(インベストメント・マネージャー)はもとより、これらの機関もすべてビジネスとして業務を行うので、それぞれに報酬を払うこととなり、これが累積するので、個人が自ら投資をすることに比べると、投資に関する手数料等の費用の額が大きくなってしまいます。

また、個人であれば、例えば、その保有する上場株式を市場でいつでも売ることができます。
しかし、ファンドの場合は、投資家がそのファンド持分を売りたいと思っても、即座に売ることができない場合があります。
特に、大規模投資家であれば、一度に資金が引き上げられるとファンドの存続にかかわることとなるので、全部解約が制限される場合があります。

また、プライベートエクイティファンドのような、投資期間が限定されているクローズドエンドファンドにおいては、そもそも期中の売却はできない場合があります。
したがって、投資家の事情により自由にファンドへ投資した資金を回収することができないことがあるので、注意を要します。


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