January 27, 2025
【前日の為替概況】ドル円、小幅続落 日銀利上げで売られた影響が残る
24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら続落。
終値は156.00円と前営業日NY終値(156.05円)と比べて5銭程度のドル安水準だった。
日銀の利上げ決定を受けてアジア時間に一時154.85円まで売られた影響が残った。
ただ、欧米市場に入ると一転買い戻しが優勢となり下げ幅を縮めた。
植田和男日銀総裁は金融政策決定会合後の会見で「利上げのペースやタイミングは予断を持っていない」「今回の利上げの影響がどのように出てくるかを確かめつつ、今後の進め方を決めたい」などと発言。
市場では「日銀がしばらくは様子見に移る」との見方が広がり、円売りを促した。
22時過ぎには一時156.57円と日通し高値を更新した。
もっとも、前日の高値156.75円がレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。
一時は4.65%台まで上昇した米10年債利回りが4.60%台まで低下したことも相場の重しとなり、2時30分前には155.52円付近まで下押しした。
市場関係者からは「ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだ円買い・ドル売りのフローが観測された」との声も聞かれた。
ユーロドルは続伸。
終値は1.0497ドルと前営業日NY終値(1.0415ドル)と比べて0.0082ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州時間に発表された仏・独・ユーロ圏の1月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が予想を上回ったことを手掛かりに、NY市場でもユーロ買い・ドル売りが入った。
米長期金利が低下に転じたことなども相場を支援材料となり、2時30分前には1.0521ドルと昨年12月17日以来の高値を更新した。
なお、NY時間発表の1月米製造業PMI速報値や12月米中古住宅販売件数は予想を上回った一方、1月米サービス部門PMI速報値や1月米ミシガン大学消費者態度指数確報値は予想を下回るなど、強弱入り混じる結果となった。
ユーロ円は反発。
終値は163.68円と前営業日NY終値(162.54円)と比べて1円14銭程度のユーロ高水準。
アジア市場では日銀の利上げ決定を受けて161.92円まで売られたものの、欧米市場に入ると底堅く推移した。
ドル円の上昇につれた買いが入ったあとはユーロドルの上昇につれた買いが入り、24時前には一時164.08円と7日以来の高値を付けた。
その後の下押しも163.50円付近にとどまった。
【本日の東京為替見通し】前週末の日銀利上げに対する本邦株式市場の動きに注目
本日は、前週末の日銀の利上げに対する株式市場の動きを確認しながらの展開になるか。
日銀は0.25%の利上げを行い、声明でインフレ見通しを引き上げた。
一方、植田日銀総裁は会見で「今回の利上げの影響がどのように出てくるかを確かめつつ、今後の進め方を決めたい」などと発言したことで、日銀の早期追加利上げ期待をけん制した格好となっている。
前週末の日経平均先物は海外市場で堅調地合いを維持しており、日銀の早期追加利上げ期待の後退を背景に東京市場でも株高の流れが続くようならば、ドル円を押し上げる可能性がある。
ただ、前週末の米国株は今週から始まる米企業決算などを前に調整安となっており、こちらがより意識されるようならば上値が重くなることも考えられる。
市場関係者が最も注目する今週のイベントは28-29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)であり、日銀イベント通過後の反応が一服するとFOMCを見極めたいと手控えムードが広がる展開も想定される。
他方、トランプ米大統領が20日に就任してトランプ劇場の第2幕が開いた直後であることを考えると、当面は関税政策を始めとして大統領の政策内容に神経質な展開が予想される点には注意したい。
そのほか、中国では1月製造業PMIが発表予定。
市場予想は前月並みの50.1と、3カ月連続で好不況の分岐点である50を超える見通しとなっている。
結果に注目したい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○14:00 ◇ 11月景気動向指数改定値
<海外>
○10:30 ◎ 1月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.1)
○18:00 ◎ 1月独Ifo企業景況感指数(予想:84.7)
○21:00 ◇ 12月メキシコ貿易収支(予想:34.90億ドルの黒字)
○24:00 ☆ 12月米新築住宅販売件数(予想:前月比5.4%/67.0万件)
○28日01:30 ◎ 米財務省、2年債入札
○28日03:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○オーストラリア(オーストラリア・デー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
24日05:38 トランプ米大統領
「AIに関する行政措置に署名する」
「パウエルFRB議長と適切な時期に話す」
24日11:17
「中国の習主席との会話は順調だった」
「中国に対して関税を使わざるを得ない状況は避けたい」
「ウクライナ戦争が終わらなければ、ロシアに大規模な関税や制裁を課す」
「北朝鮮の金総書記に接触するつもり」
24日12:26 日本銀行声明
「物価目標実現の観点から緩和度合いの調整適切と判断」
「見通し実現通りなら引き続き金利引き上げ」
「先行き、見通しが実現していく確度高まってきている」
24日15:41 植田日銀総裁
「今年の春闘、しっかりとした賃上げの実施が見込まれる」
「輸入物価、前年比でみれば引き続き抑制されている」
「トランプ米大統領が就任したが金融資本市場は落ち着いている」
「利上げ後も実質金利は大幅マイナス、緩和環境は維持される」
「今回の利上げ、市場金利上昇を通して経済に影響を及ぼす」
「今後の利上げ、経済・物価・金融情勢次第で予断は持っていない」
「基礎的物価上昇率、見通しに沿って緩やかに上昇という範囲に留まっている」
「深刻なビハインドザカーブにあるとは見ていない」
「今回の利上げの影響については詳しく検討したい」
「物価見通しの上方修正は今年半ばまで、その後は落ち着く」
「トランプ関税や各国の報復措置の影響、現時点では不確実性が高い」
「極めて緩和度合いが強い状況を長く続けると、インフレ率が急上昇する」
「基調的な物価、データで分かる部分もあるがわからない部分もある」
「中立金利、まだ相応の距離がある」
「(今後の利上げについて)段階的に動いてゆくのが適切な対応」
「0.5%の政策金利、中立金利の幅から距離がある」
「米政権発足で市場の混乱なし、ここで動かない理由はないと判断」
「基調的な物価、26年度のどこかで物価目標と整合的な水準に収束してゆく」
「24・25年度の物価見通しの上方修正、第2ではなくある種の第1の力」
「コアコアの上方修正、オントラックから上方にずれている」
「コストプッシュの物価上昇、期待インフレ率を上げてしまう可能性」
「推計の中立金利は1-2.5%に分布、0.5%からは距離がある」
「ETFの扱いはもう少し時間をいただきたい、なかなか難しい問題」
「1月の氷見野副総裁講演はデータに応じて政策変更を議論する基本線をリマインドした」
「人口減少の中立金利への影響、リアルタイムではわからない」
「物価は今年後半にかけて低下、それに応じて実質賃金はプラスになってゆく」
「デフレに戻る確率はゼロではないが非常に低い」
「展望リポートで潜在成長率を引き下げた理由は人手不足」
「潜在成長率、修正幅小さく中立金利への影響はごくわずか」
「追加利上げに当たっては成長率より基礎的な物価が26年度後半にかけてどうなってゆくかを見て判断」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=154円後半で底堅さ示す>
下影小陰線引け。
一時154.85円と、21日に下振れた際の安値154.78円に迫る場面もあった。
しかし下げ渋り、156円へ戻して週を引けている。
再び154円後半を下値に、底堅さを示す下ひげをともなう足型を形成して反発した格好。
一目均衡表・転換線156.43円を試す展開を想定する。
レジスタンス1 156.43(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 156.00
サポート1 155.04(ピボット・サポート1)
サポート2 154.78(1/21安値)
<ユーロドル=調整の可能性あるが大幅な反動安は回避へ>
陽線引け。
一目均衡表・雲の下限を上抜けて一時1.0521ドルと、12月17日以来の高値をつけた。
1.0462ドルへ小幅に低下した雲の下限前後をめどに押し戻されるような調整も視野に入れておきたいが、1.0446ドル前後で上昇中の5日移動平均線付近では下押しの流れを緩め、先週末安値1.0412ドルを大きく下抜けるような反動安は回避できるとみる。
レジスタンス1 1.0534(2024/12/17高値)
前日終値 1.0497
サポート1 1.0412(1/24安値)
<ユーロ円=200日線を見据えた上昇の流れ維持を期待>
陽線引け。
161.92円まで下押しが先行したものの、161.91円で引けた一目均衡表・転換線を割り込むことなく上昇へ転じた。
一時164.08円と、相場の強弱を判断する上での分岐点200日移動平均線164.54円を意識した水準まで上伸した。
週明けは弱含んで始まったが、同線の攻略を見据えた上昇の流れ維持を期待する。
レジスタンス1 164.08(1/24高値)
前日終値 163.68
サポート1 162.90(5日移動平均線)
<豪ドル円=90日線を追うように雲の上抜け試す流れ予想>
陽線引け。
一目均衡表・雲の中で上昇を再開して一時98.77円と、7日以来の水準まで上値を伸ばした。
一目均衡表・雲の上限98.96円が目先の抵抗。
しかし99.02円前後で推移する90日移動平均線を追うように上値を伸ばし、雲の上抜けを試す流れを予想する。
レジスタンス1 98.96(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 98.51
サポート1 97.62(日足一目均衡表・基準線)
Provided by
DZH Finacial Research
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