本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、ウクライナ情勢関連のヘッドラインに要警戒か(2024年11月20日)

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November 20, 2024

【前日の為替概況】ドル円、153.29円を底に154円後半まで切り返す ユーロ円も下げ幅縮小

19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は横ばい。
終値は154.66円と前営業日NY終値(154.66円)とほぼ同水準だった。
ロシアが核兵器を使用するための条件を示した「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)を改定したと伝わったほか、ウクライナは米国から供与された長距離地対地ミサイルを使ってロシアの軍事施設を攻撃したと報じられた。
ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感が高まるとリスク回避の円買いが強まり、日本時間夕刻に一時153.29円と日通し安値を付けた。

ただ、NY市場に入ると買い戻しが優勢となった。
ラブロフ露外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言したのを受けて、投資家の過度なリスク回避姿勢が後退した。
その後、国際原子力機関(IAEA)が「イランは核兵器級に近いウランの生産停止に合意」「イランと核施設への査察官受け入れについて合意」と発表。
さらに買い戻しが強まり、3時過ぎには154.80円と日通し高値を更新した。

ユーロドルは3営業日ぶりに小反落。
終値は1.0596ドルと前営業日NY終値(1.0598ドル)と比べて0.0002ドル程度のユーロ安水準だった。
ロシアとウクライナを巡る一連の報道をきっかけにリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが強まると、日本時間夕刻に一時1.0524ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、0時30分過ぎには1.0601ドルとアジア時間に付けた日通し高値に面合わせした。

ユーロ円も小反落。
終値は163.86円と前営業日NY終値(163.93円)と比べて7銭程度のユーロ安水準。
ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりから、日本時間夕刻に一時161.50円と10月4日以来の安値を付けたものの、NYの取引時間帯に入ると一転上昇した。
一時は450ドル超下落したダウ平均が8ドル安程度まで下落幅を縮小したほか、ナスダック総合が上昇へ転じるなど、米国株相場が底堅く推移したことが買い戻しを誘った。
6時前には一時163.93円付近まで持ち直した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、ウクライナ情勢関連のヘッドラインに要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利の低下が上値を抑える中、ウクライナ情勢を巡る関連ヘッドラインに警戒していく展開が予想される。

ドル円は、プーチン露大統領が核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和した、との報道で153.29円まで急落。
しかしながら、ラブロフ露外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言したことで154円台後半まで反発している。
17日にバイデン米政権が、ウクライナによるロシア領内への攻撃を巡り「米国製の長距離兵器の使用を許可した」と報じられたが、19日にはプーチン露大統領が核ドクトリンの改定を承認して、「核兵器の使用基準を緩和した」と報じられた。

ロシア与党「統一ロシア」のマリア・ブティナ議員は、「バイデン米大統領がウクライナに米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを容認すれば、第3次世界大戦を引き起こすリスクがある」と警告していた。
ロシアの「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)は、核兵器使用の条件として、通常兵器によってロシアが侵略され国家の存立が危機的になった時、としており、使用基準の緩和によりウクライナ戦争で戦術核が使用される可能性が高まりつつある。

今後もウクライナやロシア関連のヘッドラインには警戒しておきたい。

8時50分に発表される10月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前3604億円の赤字、季節調整済1467億円の赤字)では、日本の実需筋の円売り圧力を見極めることになる。

第2次トランプ米政権では、米国の製造業保護のために、輸入関税が引き上げられ(公約:中国60%、その他10-20%)、ドル安志向が警戒されているため、対米貿易黒字にも注視しておきたい。
日本の1-9月の貿易赤字は4兆8738億円だが、対米貿易黒字は6兆1701億円となっており、米為替報告書で監視対象国に入っている要因となっている。

参考までに、新NISA稼働に伴う「家計の円売り」である投信の買い越し額は、1-10月で10兆1045億円に達しており、貿易赤字とともに、ドル円の下値を支える要因となっている。

なお、今年4月にトランプ氏は、ドル円が34年ぶりの高値圏となる154円台に上昇してきた時に、「米国の製造業にとって大惨事だ」とSNSに投稿していた。
これまでの所、トランプ氏は、第1次トランプ米政権の時のようなSNSへの投稿は控え気味だが、4月の時のように、ドル高・円安への牽制発言が発せられた場合、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)の巻き戻しを誘発することになる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◎ 10月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前3604億円の赤字、季節調整済1467億円の赤字)

<海外>
○16:00 ◇ 10月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.2%)
○16:00 ◎ 10月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比2.2%)
○16:00 ◎ 10月英CPIコア指数(予想:前年比3.1%)
○16:00 ◇ 10月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比3.4%)
○17:00 ◎ 10月南アフリカCPI(予想:前月比0.2%/前年比3.1%)
○19:00 ◇ 10-12月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○19:00 ◇ 9月ユーロ圏建設支出
○20:00 ◇ 9月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比2.7%)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○24:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、議会証言
○21日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○21日01:00 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○21日01:00 ◎ クックFRB理事、講演
○21日02:15 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○21日03:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21日03:30 ◎ ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演
○21日04:00 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○21日06:00 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○ブラジル(黒人意識の日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

19日05:51 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「インフレが下振れするリスクが高まっている」

19日11:09 加藤財務相
「急激な為替変動には適切に対応」
「為替動向、行き過ぎた動きには適切な対応を取る」
「非常に緊迫感を持って為替の動きを見守っている」
「為替は9月末以降急激な動きがみられる」
「為替に対するスタンスは従来から全く変化はない」

19日16:57 農林中金理事長
「今期の損失は1.5兆円から2兆円」

19日19:16 パネッタ伊中銀総裁
「ユーロ圏の経済活動は依然として弱く、苦境に立たされている」
「国内需要が弱いままならインフレ率は2%を大きく下回る可能性」
「ECBは中立的な金融政策スタンスに移行すべき、あるいは必要であれば拡張的政策もとるべき」
「おそらく中立金利にはまだまだ遠い」
「金融政策スタンスの公式説明における引き締めバイアスはもはや必要ない」
「ECBは『会合ごとの』データ依存アプローチではなく、より将来を見据えたコミュニケーションが必要」

19日19:29 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「インフレ率はBOEが利下げした際の予想より低い」
「サービスインフレは依然として目標と一致していない」

19日19:33 テイラー英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「段階的なペースでの利下げを継続しても問題ない」
「より正常なシナリオに移行している」
「段階的とは来年にかけて100ベーシスポイントを意味する」

19日19:37 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「物価と賃金の将来指標は4カ月間横ばいで目標を上回っており、インフレ持続のリスクが高まっている」
「金融市場のインフレ予想は、BOEが予測期間内に持続的な2%のインフレ率を達成できないことを示唆」
「金利を据え置くことが重要であり、段階的な利下げ戦略を追求する必要はない」
「私は利下げについて段階的な表現は使わない」
「金融政策では積極的な戦略を希望」
「現在の金融政策の姿勢は特に制限的ではない」
「漸進主義はインフレの持続を長期化させる」

19日20:10 ミューラー・エストニア中銀総裁
「12月は25ベーシスポイントの利下げの可能性」
「今は大きなステップで動く理由はない」

19日22:49 ラブロフ露外相
「プーチン大統領はすでに警告を発している」
「ロシアの核ドクトリンは米国のものと変わらない」
「核戦争を起こさないことがロシアの立場」

20日04:13 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「金利は依然としてやや制限的だが、過度ではない」
「インフレとの戦いはまだ終わっていない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=一目・転換線を念頭に置いた値動き続く>

ドル円1120

パラメーター1120

寄引同事線引け。
153円前半まで下げたところから、154円後半まで切り返した。
結果的に152円後半で上向きの基準線が支持として働いた形となった。

日足一目・転換線は本日も154.40円台に位置し、明日から再び上昇が示唆されている。
転換線を挟み値幅を伴った動きが続いており、本日も同線を念頭に置いた値動きとなりそうだ。
同線の切り上がりに沿って上値を試した場合、18日高値が目先のめどとなる。

レジスタンス1 155.36(11/18高値)
前日終値 154.66
サポート1 153.29(11/19安値)
サポート2 152.82(日足一目均衡表・基準線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=下向きの一目・転換線を試す場面あるか>

ユーロドル1120

パラメーター1120

下影小陰線引け。
1.05ドル前半で前日安値を僅かに下抜けたところから切り返した。
しかしながら、1.06ドル台乗せでは上昇の勢いが緩んだ。

14日に1.04ドル台を覗いた後は、1.05ドル前半で支えられる展開が続いている。
昨日の下ヒゲも下値の固さを示しているとすれば、1.06ドル半ばで下向きの転換線を試す場面もあるか。
同線超えは、1.07ドル前半の基準線が視野に入る。

レジスタンス1 1.0652(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0596
サポート1 1.0497(11/14安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=昨日の下ヒゲが支持として働くか見極め>

ポンド円1120

パラメーター1120

下影小陽線引け。
日足一目・転換線が重しとなり、193円半ばまで下げ幅を拡大。
もっとも90日線の手前から切り返し始めると、196円台を回復して終えた。

基準線を下回ってきた転換線は196.20円台まで低下するも、来週半ばまでは196円手前で下げが一服する。
本日は転換線を睨みながら、昨日の下ヒゲが支持として働くか見極めたい。
再び下押しした場合は、昨日レンジの半値がめど。

レジスタンス1 197.44(21日移動平均線)
前日終値 196.14
サポート1 194.90(19日レンジの半値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=転換線は低下も下ヒゲが支えとなるか>

NZドル円1120

パラメーター1120

下影陽線引け。
売り圧力が強まるも、90円前半の90日線から日足一目・雲の下限が支持帯として働いた。
91円台を回復し、基準線や転換線を上抜けている。

転換線は91.20円台で基準線を下回ってきた。
今週の転換線は91円手前で下げ止まるため、暫く昨日の下ヒゲが支えになることを想定。
上値は、92円前半の200日線から半ばの7日高値が抵抗帯として意識される。

レジスタンス1 92.47(11/7高値)
前日終値 91.43
サポート1 90.80(19日レンジの半値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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