September 27, 2024
【前日の為替概況】ユーロドルは反発 前日安値サポートとして買い戻しが優勢に
26日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反発。
終値は1.1177ドルと前営業日NY終値(1.1133ドル)と比べて0.0044ドル程度のユーロ高水準だった。
前週分の米新規失業保険申請件数や8月米耐久財受注額などが予想より強い内容だったことが分かると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが先行。
23時過ぎに一時1.1126ドルと日本時間夕刻に付けた日通し安値に面合わせした。
ただ、前日の安値1.1122ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。
今週に入って中国で景気浮揚策の発表が相次ぎ、投資家心理が楽観に傾く中、欧米株高に伴うリスク・オンのユーロ買い・ドル売りも入った。
月末・四半期末が近づく中、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル売りのフローが観測されると一時1.1189ドルと日通し高値を更新した。
ドル円は小幅ながら続伸。
終値は144.81円と前営業日NY終値(144.75円)と比べて6銭程度のドル高水準だった。
米10年債利回りが3.75%台へ低下した局面で円買い・ドル売りが強まると一時144.11円と日通し安値を更新した。
ただ、米経済指標が強い内容だったことが伝わると、米10年債利回りが3.81%台まで上昇。
米金利上昇に伴う円売り・ドル買いが出て一時145.21円と4日以来の高値を付けた。
欧米株価の上昇を背景にリスク・オンの円売りも出た。
もっとも、ロンドン・フィキシングに絡んだドル売りのフローが観測されると144.51円付近まで下押しした。
明日27日の自民党総裁選投開票を前に様子見ムードも強く、大きな方向感が出にくい面もあったようだ。
ユーロ円は3日続伸。
終値は161.86円と前営業日NY終値(161.16円)と比べて70銭程度のユーロ高水準。
21時過ぎに一時160.75円と本日安値を付けたものの、世界的な株高を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢となった。
日本時間夕刻に付けた高値161.85円を上抜けて、取引終了間際には161.92円と3日以来の高値を付けた。
【本日の東京為替見通し】自民党新総裁選挙で大相場か、結果次第で日銀の動向にも影響
本日のドル円は大きな値動きになる可能性が高い。
アジア時間では自民党の総裁選挙が最大の注目。
自民党のホームページによると、「国会議員票」の投開票や「党員票」の開票が13時から行われる。
ただし最初の投票では誰も過半数を得られず、立候補者9人の中で、石破茂氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏の3人がそれぞれ100票以上獲得し、このうちの2名による決戦投票が行われるとの予想が大勢を占めている。
3人の有力候補で誰が決選まで進み、新総裁(後に新総理)になるかが日銀の今後の金融政策へ大きく反映され、円相場にも影響を与えることになるだろう。
日銀は他国の中央銀行と違い、日本銀行法第4条で「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」と定められている。
すなわち、これは日銀がある程度は政府の意向に従わなくてはならないとも言え、特に安倍政権発足後からは政府の要求に日銀が従う傾向は如実に示されている。
3人の有力候補で石破氏は、7月の利上げについて「金融緩和という基本的政策を変えないなかで徐々に金利のある世界を実現していくのは正しい政策だ」と日銀の利上げを容認。
また、適正な為替水準については「常識的に(ドル円は)110円から140円と言われている」とも述べている。
更に金融所得課税の実施も肯定的な考えを示した。
高市氏は逆に「金融緩和を我慢強くやらなければ、また元のデフレ状態に後戻り」「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言し、日銀の利上げには反対している。
そして小泉氏は「安倍晋三、菅義偉、岸田文雄各政権は政府と日銀の対話やコミュニケーションを重視してきた。
そこは同じだ」と発言。
また、日銀の独立性を尊重していることも主張している。
しかしながら、金融政策に関しては言及を避け、小泉氏がたびたび指摘されるように何を考えているのかが分からない状態だ。
これらの発言を鑑みた単純な比較でしかないものの、決選投票に石破氏と高市氏が残った場合は、短期的にはドル円は動きにくい。
党員票が多くの比重を占める決選投票では、石破氏が党員から不人気なのは周知のとおりだが、アンチ高市氏が多いのも事実。
ただし、上川氏に流れていた女性票や小林氏に投じた保守票が高市氏に流れるとの声もある。
石破氏と小泉氏が残った場合は、利上げ反対の高市氏が消えることで日銀の利上げのハードルが下がることや、金融所得課税の実施の可能性もあり円高・株安に動くか。
ただし、党員に不人気な石破氏よりも、キングメーカーたちが小泉氏の方が動かしやすいと小泉投票を促す可能性もある。
高市氏と小泉氏が残った場合は、利上げを容認の石破氏が消えることで、日銀の利上げのハードルは大きく引き上げられ円安・株高になると思われる。
もっとも、予想はあくまでも短期的な面だけで、今後も同様な傾向が続くとは限らない。
例を挙げると積極的に財政拡大を計画している高市氏に対して、財務省は拒否反応を示している。
一部ではアベノミクスの失敗を繰り返すことになるとの非難や、財政拡大が僅か44日で首相を辞任した英国のトラス首相の二の舞になる可能性も指摘されている。
他有力2候補も中長期的に見て様々な不安点もあり、短期的な動きと中長期的な動きでは大きく変わる可能性も念頭に入れておきたい。
なお、米国時間には米連邦準備理事会(FRB)が重要視する米個人消費支出(PCE)デフレーターの8月分が発表される。
同指標の結果次第で相場展開も急に変わることもありそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 9月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比2.0%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○13:00 ☆ 自民党総裁選投開票
○14:00 ◇ 7月景気動向指数改定値
<海外>
○07:00 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○15:45 ◇ 9月仏CPI速報値(予想:前月比▲0.7%/前年比1.6%)
○15:45 ◇ 8月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45 ◇ 8月仏消費支出(予想:前月比▲0.1%)
○16:00 ◇ 8月トルコ貿易収支(予想:49.0億ドルの赤字)
○16:15 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○16:55 ◎ 9月独雇用統計(予想:失業率6.0%/失業者数変化1.20万人)
○17:15 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18:00 ◎ 9月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:96.5)
○18:00 ◎ 9月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲12.9)
○18:40 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○20:15 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:00 ◇ 8月メキシコ貿易収支(予想:5.00億ドルの赤字)
○21:30 ☆ 7月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比1.4%)
○21:30 ◎ 8月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
◎ 8月米個人所得(予想:前月比0.4%)
☆ 8月米PCEデフレーター(予想:前年比2.3%)
☆ 8月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比2.7%)
○21:30 ◇ 8月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○22:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、クーグラーFRB理事、討議に参加
○23:00 ◎ 9月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:69.3)
○28日02:15 ◎ ボウマンFRB理事、討議に参加
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
26日05:48 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「労働市場がこれ以上弱まるのは望んでいない」
「住宅を除くインフレ指標は2%近くだが、それは我々の目標ではない」
「インフレ率が2%に到達するにはまだ時間がかかる」
「我々は金利の再調整を開始した」
「金利の正常化を継続する必要がある」
「中立金利については不確実性が大きいため、我々はあまり注意を払っていない」
26日08:54 7月30-31日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
「ある委員は今後も、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要があるとの見方を示した」
「ある委員は、長らく短期金利を引き上げた経験がないわが国では、中立金利の水準を巡る不確実性が大きいと指摘」
「ある委員は、中長期の予想物価上昇率が2%にアンカーされていないもとで、引き続き物価は下方リスクに脆弱と指摘」
「一人の委員は、金融政策の正常化が自己目的になってはならないと述べた」
「ある委員は中立金利は最低でも1%程度とみており、急ピッチの利上げを避けるためには、今後も、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要がある」
26日23:27 イエレン米財務長官
「労働市場は以前よりやや緩んでいる」
「銀行システムは十分な資本を備えている」
「米労働市場、インフレからソフトランディングへの道をたどっていることが示唆されている」
「FRBは金利がさらに下がると予想しているようだ」
「インフレの最後の砦は住宅だ」
「現在、インフレはかなり低下しており、インフレ調整後の実質賃金は再び上昇し始めている」
「インフレはバイデン政権の最優先事項であり続ける」
「米ドルの価値は市場によって決定されるべき」
「極端なケースとしてのドル介入は想像できる」
27日04:00 メキシコ中銀声明
「4対1で金利引き下げを決定」
「1人の委員は金利据え置きを主張」
「インフレによりさらなる利下げの議論が可能になる可能性」
「2024年第4四半期のインフレ率は4.3%と予測」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線は来週にも基準線を上抜け、買い示唆へ>
小陽線引け。
4日以来の高値145.21円まで上昇する底堅い動きだった。
ただ、陽線ながら幅の狭い足型を形成。
約3週間ぶりの145円台に達したところで気迷いも感じられる。
しかし現状からすれば一目均衡表・転換線142.77円は来週10月1日にも一目・基準線143.40円を上抜く公算で、買いサインを点灯させる見込み。
底堅さ維持が期待できる。
レジスタンス1 145.57(9/4高値)
前日終値 144.81
サポート1 144.24(5日移動平均線))
サポート2 143.40(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=転換線は緩やな上昇傾向維持、じり高期待>
陽線引け。
一目均衡表・転換線1.1142ドル前後のレンジから戻りを試し、1.1189ドルまで上昇した。
前日につけた年初来高値1.1214ドルには届かなかったものの、底堅さを示した格好。
非常に緩やかだが上昇傾向を維持する転換線が示唆するじり高の流れが期待できる。
レジスタンス1 1.1214(9/25高値=年初来高値)
前日終値 1.1177
サポート1 1.1126(9/26安値)
<ユーロ円=雲の下限を巡る攻防>
陽線引け。
すう勢を示す5日移動平均線の切り上がりをともなう上昇が続いた。
本日早朝は3日以来、3週間ぶりの162円台回復を果たしている。
ここからは一目均衡表・雲の下限162.65円を巡る攻防。
押し戻され、本日160.92円へ上昇した5日線前後まで下押す調整も視野に入れておきたい。
押し目が深くなっても上昇中の一目均衡表・転換線158.99円が支えとなり底堅さを維持するとみる。
レジスタンス1 162.65(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 161.86
サポート1 161.10(ピボット・サポート1)
<豪ドル円=雲を上回り100円台への定着をうかがう様相>
陽線引け。
一時99.90円と、一目均衡表・雲の上限99.76円を上回った。
NY終値ベースでも99.86円と雲を上回り、100円台への定着をうかがう様相。
200日移動平均線100.02円は緩やかに切り上がる状態で、強い抵抗にならないとみる。
レジスタンス1 100.73(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 99.86
サポート1 99.06(5日移動平均線)
Provided by
DZH Finacial Research
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